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2010年03月01日

渋沢栄一への思い (渋沢史料館)

飛鳥山公園にある「渋沢史料館」を訪ねました。




渋沢栄一という人をご存知でしょうか?
日本の近代経済社会の基礎を築いた人です。




幕末に生まれ、昭和6年に亡くなるまで、日本の経済基盤造りに奔走しました。

幕臣となって幕末にパリ万国博覧会に随行し、そこで欧州諸国の進んだ社会・経済制度、組織の実際や生産技術に触れ、国民を豊にする基本を体得します。

海外で得た知識は、明治維新政府で国立銀行制度の実施などに活躍し、その後は、500以上の株式会社の設立に奔走します。
例えば、第一国立銀行のほか、東京ガス、東京海上火災保険、王子製紙、帝国ホテル、秩父鉄道、京阪電気鉄道、東京証券取引所、キリンビール、サッポロビールなど

しかし、彼は、500以上の株式会社の設立に尽力する一方、福祉や教育事業にも大きく貢献し、関わった社会事業は約600に上ります。

社会活動では、東京慈恵会、日本赤十字社、癩予防協会の設立などに携わり財団法人聖路加国際病院初代理事長でもあります。

そして、教育面では、商法講習所(現一橋大学)・大倉商業学校(現東京経済大学)の設立に協力したほか、早稲田大学などの設立・経営にも携わり、同志社大学(創立者・新島襄)への寄付金の取り纏めにも奔走。
また、女子の教育の必要性を考え、日本女子大学校・東京女学館の設立にも携わっています。

渋沢栄一は、企業を発展させ国を豊かにするためには、「論語」をよりどころに道徳と経済の一致を常に心がけなければいけないと説き、それを実践していったのです。
これが、「道徳経済合一説」です。

この彼の考えは、現代でも非常に素晴らしいものと評価されており、特に、CSR(企業の社会的責任)を考える上では、基本ともなる考え方でもあります。
企業活動は社会との関係の中で成り立つものであり、だからこそ、人としていかに正しくあるべきかを考え行動することが必要なのだと思います。

不正からは、持続性のある企業活動は望めません。
不義理をはたらくところから、信頼は生まれません。

道徳心が希薄になっている現代。
「人として当たり前のこと」をなす道徳力が必要とされています。
その根本を、ふるくて新しい「論語」に見出すことができるのです。
「温故知新」

そんなことを渋沢史料館で感じました。




  

Posted by Norichan at 17:00Comments(4)