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アート/芸術  |洛中

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2011年08月08日

機械は肉体 (河井寛次郎記念館)

明治に生まれ、大正,昭和と京都を拠点に活動した陶芸家の河井寛次郎。
卒業は、今の東京工業大学の窯業科ですから、理科系出身。
無機化学の全てを知り尽くした芸術家であり、哲学者です。

これは、彼が使っていた「登り窯」です。





「蝶が飛ぶ 葉っぱが飛ぶ」(講談社文芸文庫)の中に掲載されている「機械は新しい肉体」という随筆の中に・・・

「機械は存在しない 機械は新しい肉体」という表現があります。
「機械を使ってする労働の過程全体を、自分の心に描き、美しいものとして自覚するようにならなくてはいけない。・・・」
工業美学という言葉も、工業化学を専攻した私にとっては、今でも新鮮に響きます。


この「登り窯」は、昔に築かれたものを、彼が譲り受けたものです。
土と石で築かれた「窯」という機械に、彼は命を吹き込み、作品として仕上げていきました。




この窯の前から二番目の窯から、彼の作品である肉体はこの世に創出されました。




その過程すべてが大切な肉体としての存在なのでしょうか。
そうしてみると、この窯は今も生きているのかもしれません。
とても美しい肉体の一部として・・・








  

Posted by Norichan at 08:08Comments(0)京の旅