術後の傷を癒すために、湯治に出かけました。
出かけた先は、群馬県の川原湯温泉。
歓楽街があるという温泉ではなく、昔ながらの湯治場といった温泉。
でも、この温泉街は、5年後にはダムの底に沈んでしまいます。
50年前に計画されていた「八ツ場ダム」が完成し、水没するのです。
もう、住人の3分の2は、代替地に引っ越されたとのこと。
このお食事処も、昔は繁盛してたのでしょうね。
この温泉もあと5回季節がまわるとなくなるのかと思うと感慨深い湯治です。
温泉は、浅間山が近いので、温質も良好。
1193年に、源頼朝が狩をしている最中に発見したとされています。
〈泉質〉 食塩石こう硫化水素泉
〈泉温〉 72℃~82℃
〈性状〉 無色透明 硫化水素臭あり
〈効能〉 胃腸病 神経痛 婦人病 痔疾 リュウマチ
新源泉にある足湯には、いつも近所の人が、足湯を楽しんでいました。
付近には、いろんな共同浴場もあり、その中でも、寸志で入浴できる混浴のこの聖天様の露天風呂は、緑の中にあります。
ここに男女で入ったら、子宝に恵まれそう。
露天風呂の横にある聖天神社は、それを暗示しています。
私が滞在したのは、「やまた旅館」
http://www2u.biglobe.ne.jp/~yamata/
陶芸家のご主人の作られたさまざまな器が並ぶ食事。
食材は、奥吾妻地方の山菜、川魚、野菜、肉などの豊富材料を用いた素朴なもの。
旅館内は、いろんなところに昔の面影が残っていて、ちょっとしたこころ配りにハッとさせられます。
ガラス窓に差し込まれた落ち葉が、外からの光で、素敵なシルエットです。
真夏の木々の緑が、まるで額縁の絵のように見える午後のひと時です。
旅館の中には、掛け時計がいっぱい。
でも、その時計は止まっていました。
そして、この温泉場も、5年後には、永遠に時を止めてしまうんでしょう。